Google Pixel Watch 3は、Androidユーザー向けのスマートウォッチ市場で新たな王者として登場した。
最大の変化は、45mmのケースサイズを追加したことによるバッテリー寿命の大幅な改善だ。これにより、従来の問題点であったバッテリー切れの心配が解消され、48時間の駆動が可能になった。
さらに、フィットネス機能も強化され、特にランニングやトレーニングにおける精度が向上している。
45mmケースの追加でバッテリー寿命が倍増
Google Pixel Watch 3の最大の進化は、45mmケースサイズの追加によるバッテリー寿命の大幅な改善である。従来の41mmサイズのモデルでは24時間もバッテリーが持たず、多くのユーザーがその短さに不満を抱いていた。しかし、45mmサイズの登場により、この問題は解消された。公式には48時間のバッテリー持続時間が発表されており、これにより常時オンディスプレイ(AOD)を使用しても、1日半以上の使用が可能になっている。
さらに、バッテリー寿命の一貫性も向上しており、過去のモデルに見られた急激なバッテリー消耗が減少している。特に、睡眠トラッキング中や日常的な通知の受信時でも安定した動作を保つ。これは、長時間のアクティビティトラッキングを必要とするユーザーにとって非常に有利な要素である。スポーツやフィットネスにおいて、頻繁に充電を気にする必要がなくなったことは大きな利点と言えるだろう。
Pixel Watch 3のバッテリーは、充電速度も改善されている。約30分で大半の充電が完了し、1時間以内にフル充電が可能だ。この点でも、日常使いにおけるストレスが大幅に軽減されたと言える。バッテリー寿命の改善により、Pixel Watch 3は実用性が格段に高まった。
トラッキング機能の強化とFitbitとの連携
Google Pixel Watch 3は、トラッキング機能の強化が際立っている。特に、ランニングやトレーニングにおける精度が向上し、Fitbitとの連携がこれまで以上に洗練された形で提供されている。今回のモデルから、心拍数トラッキングはもちろんのこと、Cardio Load(カーディオ負荷)やランニングのインサイトが追加され、より詳細なフィットネスデータが確認できるようになった。
このCardio Load機能により、ユーザーは自身のトレーニングの負荷を具体的な数値で把握できるようになった。これにより、無理のない範囲でのトレーニング調整が可能となり、効果的なフィットネスプランを立てるための重要なデータが得られる。また、ランニング中のストライド長や接地時間といったデータも記録されるようになり、フォームの改善にも役立つ。
さらに、Fitbit Premiumの有料機能だった「Readiness Score」も、Pixel Watch 3では無料で利用できるようになった。このスコアは、睡眠や心拍数、ストレスレベルを総合的に評価し、翌日のパフォーマンス予測に活用される。これらのデータは、日々の健康管理やトレーニング効果を最大化するための強力なツールとなるだろう。
スマート機能の洗練と新たな可能性
Google Pixel Watch 3は、スマート機能においても洗練が進んでいる。最新のWear OS 5を搭載し、Googleのサービスとのシームレスな連携がさらに強化された。特に、Googleマップのオフライン対応や、Googleホームとの連携によりライブカメラフィードの表示が可能になるなど、実用的な新機能が追加されている。
また、Pixel Watch 3には超広帯域(UWB)技術が搭載されており、これによりAndroidの「デバイスを探す」機能を活用して、時計の精密な位置を特定できるようになった。この機能は、時計を紛失した際の便利なツールとなる。また、一部のBMWやMiniの車両では、Pixel Watch 3を使って車のロックを解除することもできるようになった。
ただし、これらの機能の多くは、Pixel Watch 2などの既存モデルにも提供されているため、新規性に乏しいという指摘もある。とはいえ、Wear OSの豊富なアプリサポートや通知機能、LTEや非接触型決済への対応といった基本的なスマート機能は引き続き健在であり、総合的には非常に優れたスマートウォッチである。iPhoneには非対応という点が残念ではあるが、Androidユーザーにとっては魅力的な選択肢だ。
バッテリー性能とデザインの限界
Google Pixel Watch 3は、デザインの面でも進化しているが、いくつかの限界も見受けられる。まず、45mmの大画面モデルが追加されたことにより、視認性が向上し、より多くのユーザーにフィットするデザインになった。ベゼルの縮小や明るさの向上も、全体的な操作性を向上させている。しかし、このデザインは、完全に革新的とは言えない部分もある。
Pixel Watch 3は、美しいデザインを保ちながらも、耐久性にやや課題が残っている。レビューでは、画面に細かい傷がつくことが指摘されており、落下や衝撃に対してはそれほど強くない。また、AppleやSamsungと比べて、Pixel Watch 3の画面はやや小さく、デザイン上の限界があることも否定できない。特に、ラフな環境で使用する場合には、耐久性に不安が残る。
バッテリー性能については、45mmモデルで大幅に改善されたものの、41mmモデルでは依然として24時間程度の持続時間にとどまる。AODを常時オンにした場合や、GPSトラッキングを長時間行った場合は、バッテリーの消耗が早くなる点も課題だ。総合的に見ると、バッテリー性能とデザインは大きく進化しているが、まだ改善の余地が残されていると言えるだろう。