OLEDテレビ市場で注目を集めるLG C4 OLEDとSamsung S90D OLEDが真っ向勝負。両モデルはHDR対応やゲーム機能など共通点が多い中、Dolby Vision対応のLG C4と輝度や色域でリードするSamsung S90Dが性能面で明確な違いを見せる。
価格ではLG C4が優位に立つものの、Samsung S90DのQD-OLEDパネルがゲーマーや映像品質重視のユーザーに強力な選択肢として浮上。果たしてどちらが最高の中価格帯OLEDとなるのか。
LG C4 OLEDとSamsung S90D OLEDのゲーム機能とHDRの本質的な違い

両モデルはHDMI 2.1ポートを4つ搭載し、4K@120Hzや144Hzのリフレッシュレートに対応している。このため、最新ゲーム機や高性能PCと組み合わせた高品質なゲーム体験を提供する点は共通している。しかし、HDRの対応フォーマットにおいて差が生じている。
LG C4はDolby Visionをサポートし、これが対応コンテンツの普及率から見て多くのユーザーにとって優位性を持つ。一方で、Samsung S90DはHDR10+に対応し、HDR10+規格を採用する配信サービスや映像作品において強みを発揮する。
Dolby Visionは10ビットカラーと最大12ビットのダイナミックメタデータを活用する技術であり、より緻密な明暗表現を可能にする。この点ではLG C4が一歩リードしているが、HDR10+はHDR10に対するコスト効率の高い進化形と見なされており、特にSamsungの映像技術と組み合わせることでHDR体験を最大限に引き出す可能性がある。
用途や視聴スタイルに応じて、HDRフォーマットの選択が購入時の重要な判断材料となる。
画質と色域の進化が示すOLEDの未来像
OLEDパネルは各ピクセルが独立して発光する特性を持つため、完璧な黒の表現と高いコントラスト比が実現されている。Samsung S90DのQD-OLEDパネルは、LG C4のWOLEDに比べて広い色域を誇り、特にRec. 2020カバー率でSamsungがLGを大きく上回る。
具体的には、Samsung S90Dが90.58%を達成したのに対し、LG C4は76.53%に留まっている。この性能差は映画やドラマ、スポーツ観戦時に細部の色彩表現の違いとして現れる。
ただし、WOLEDの技術も成熟しており、Dolby Visionとの相乗効果によって、HDR映像における階調表現や色の深みではSamsung S90Dに対抗し得る。画質を重視するユーザーにとっては、パネル技術だけでなくソフトウェアとの相性も選択の重要なポイントとなる。Tom’s Guideのレビューでは、こうした技術の差異が使用用途や視聴環境によって異なる結果をもたらす可能性があると指摘されている。
価格のバランスと消費者が取るべき選択肢
LG C4の$1,496とSamsung S90Dの$1,697という価格設定は、性能差を考慮すると僅差といえる。しかし、Dolby Visionを標準搭載したLG C4はストリーミングサービスやゲームで即座に利点を享受できる点が際立つ。一方、Samsung S90Dの追加コストは、輝度や色彩表現の優位性、ATSC 3.0対応による将来性といった付加価値として捉えられるべきだ。
最終的に、購入者がどちらを選ぶかは視聴環境や予算、そして利用目的に大きく依存する。コストパフォーマンスを優先するならLG C4が魅力的である一方、HDRコンテンツやゲーミング性能を最大限に活用したいユーザーにとってSamsung S90Dは投資に見合う価値がある。どちらを選ぶにせよ、いずれのモデルも市場で競争力のある選択肢であることに疑いの余地はない。