Googleは、Pixel Cameraアプリの「Video Boost」機能をより便利にするアップデートを実施しました。これまで、Pixel 8 ProやPixel 9 Proシリーズでは、カメラアプリを開くたびにVideo Boostを手動で有効にする必要がありましたが、今回の変更により、設定が維持されるようになりました。

この改善により、ユーザーは毎回設定をし直す手間が省け、よりスムーズに撮影を開始できます。Video Boostは、映像のライティングや色、ディテールを向上させる強力な機能ですが、クラウド処理が必要でアップロードに時間がかかるという課題もあります。それでも、今回の変更は利便性を大きく向上させるものです。

この新仕様は、Pixel Cameraのバージョン「9.7.047.710329721.21」で確認されており、サーバー側のアップデートとして適用された可能性が高いと見られています。

Video Boostの変更で撮影体験はどう変わるのか

これまで、Pixel 8 ProやPixel 9 ProシリーズのVideo Boost機能は、カメラアプリを閉じるたびにリセットされる仕様でした。そのため、再び高品質な動画を撮影したい場合は、毎回手動で有効化する必要がありました。この手順は、特に短時間の撮影を頻繁に行うユーザーにとって煩雑で、撮影のたびに設定を確認する手間が生じていました。

しかし、今回のアップデートにより、この設定が持続されるようになりました。つまり、一度有効化すれば、次回アプリを開いた際にもVideo Boostがオンのままとなり、すぐに撮影を開始できます。

特に、素早く撮影する必要がある場面や、連続したシーンを撮る際には非常に便利な変更です。また、ビデオカメラのアイコンに左上のキラキラマークが表示されることで、設定が維持されていることが視覚的にも分かりやすくなりました。

この仕様変更は、Pixel Cameraのバージョン「9.7.047.710329721.21」で適用されており、サーバー側の更新として広く展開されているようです。ユーザーの操作負担が減ることで、Pixelシリーズの動画撮影体験がより快適になることが期待されます。

Video Boostが抱える課題とその影響

今回の変更により、利便性が向上した一方で、Video Boostには依然としていくつかの課題が残っています。まず、最も大きな問題の一つがクラウド処理による遅延です。Video Boostを利用すると、撮影された動画はGoogleのサーバーで処理され、高品質な映像として提供されます。

しかし、このプロセスには時間がかかり、特にモバイルデータ通信を使用する場合は、アップロードの負担が増大します。そのため、外出先で頻繁に撮影を行う人にとっては、データ通信量の消費が気になるところです。

さらに、クラウド処理を前提とする仕様は、通信環境に大きく依存することになります。Wi-Fi接続が安定している場所では問題なく利用できますが、通信が不安定な状況では、期待する画質に仕上がるまでに時間がかかる可能性があります。特に、すぐにSNSへ投稿したい場合や、リアルタイムでの利用を想定している場合は、この遅延がストレスになることも考えられます。

このような課題がある中で、今回の「設定持続化」は、小さな変更ではありますが、ユーザーにとっては歓迎すべき改善です。これにより、少なくとも撮影のたびに設定をし直す手間がなくなり、よりスムーズにVideo Boostを活用できるようになりました。今後、クラウド処理の最適化やローカルでの処理能力向上などが進めば、この機能の利便性はさらに高まるでしょう。

今後のアップデートで期待される改良点

Video Boostの利便性向上に向けた第一歩として、今回の変更は有意義ですが、さらなる改善の余地もあります。

たとえば、クラウド処理に頼らず、ローカルでの処理機能を強化することで、アップロードの時間を短縮する方法が考えられます。近年のスマートフォンには高性能なチップが搭載されており、オンデバイスAIによる映像処理技術が進化しています。Pixelシリーズの強みであるGoogle Tensorチップを活用することで、クラウド依存を減らし、より快適な撮影体験が実現する可能性があります。

また、現在の仕様では、Video Boostの適用には一定の時間がかかりますが、リアルタイムで処理が可能な「即時適用モード」のような機能が導入されれば、さらなる利便性向上につながるでしょう。特に、SNSでの即時投稿を重視するユーザーにとっては、即座に高品質な映像を取得できることが大きな魅力になります。

さらに、GoogleはPixelシリーズのカメラ機能をAI技術と組み合わせることで、より高度な映像最適化を進めています。今後のアップデートでは、ライティング補正や色調補正がさらに進化し、Video Boostの恩恵をより多くのユーザーが受けられるようになることが期待されます。今回の変更を皮切りに、今後もPixel Cameraの機能向上に注目が集まりそうです。

Source：9to5Google