Epic Gamesは、Samsungの最新UIであるOneUI 6.1.1が競争を妨げているとして訴訟を起こした。問題となっているのは、サムスンの「自動ブロック」機能で、この機能によりサードパーティアプリのインストールがデフォルトで制限されている。Epicはこれがユーザーに不便を強いるだけでなく、Google PlayストアとサムスンのGalaxyストア以外のアプリストアを排除するための手段だと主張している。

Samsungの新機能「自動ブロック設定」が競争を制限

Samsungが2023年にリリースした最新のユーザーインターフェース、OneUI 6.1.1には、新たな「自動ブロック」機能が導入された。この機能は、サードパーティのアプリストアやアプリケーションのサイドロード(外部からのアプリインストール)をデフォルトでブロックする設定を含んでいる。これにより、ユーザーはSamsungやGoogleの公式ストア以外のアプリをインストールする際に、いくつものステップを踏む必要が生じる。

特に問題視されているのは、この設定が新しくリリースされたGalaxy Z Flip 6やZ Fold 6のような最新モデルにおいて、初期設定で有効化されている点である。従来のOneUIでは、このような機能はオプションであったため、ユーザーの選択に委ねられていた。しかし、最新のデバイスでは自動的にこの制限がかかり、ユーザーが明示的に解除しなければ外部ストアを利用することが困難になる。

この動きは、サードパーティアプリストアの競争を抑制し、公式ストアの独占を強化するものだと批判されている。特にEpic Gamesのような企業は、こうした制限が市場競争を妨げ、消費者の選択肢を狭めていると主張している。

Googleとの共謀疑惑 ─ Epic Gamesの主張

Epic GamesはSamsungとGoogleが共謀して、Android端末における公式アプリストアの優位性を確保し、他のストアを排除していると訴えている。この訴訟の中心にあるのは、GoogleがSamsungに働きかけ、競争を阻止するための仕組みを導入させたという疑惑である。Epicの主張によれば、Googleは自身のPlayストアを市場で独占的な地位に保つため、Samsungの協力を得て「自動ブロック設定」を新しいデバイスに組み込んだ。

具体的には、Epic Games Storeなどのサードパーティストアからアプリをダウンロードする際に、ユーザーが非常に複雑な手順を踏まなければならない状況が生まれている。これには、設定メニューを経由して「自動ブロック」を無効化するプロセスが含まれており、これ自体がユーザーの手間を増大させる結果となっている。Epicはこれを「ダークパターン」と呼び、ユーザーを公式ストアへと誘導するための手段だと批判している。

この問題は、Google Playストアが独占とされた背景で浮上してきた。Samsungがその制限をデフォルトで有効化するようになったのも、Googleの要請によるものだとEpicは指摘している。

消費者に与える影響と提訴の背景

Epic Gamesが提起したこの訴訟は、消費者にとっても大きな意味を持つ。なぜなら、Samsungの「自動ブロック設定」がユーザーの選択肢を制限し、実質的にGoogle PlayストアとGalaxyストア以外からのアプリダウンロードを困難にしているからである。特にAndroidユーザーにとって、これまで自由に利用できていたサードパーティストアへのアクセスが、厳しい制限を受けることになった。

Epicは、この制限が市場競争を阻害し、ユーザーが望むアプリを簡単に入手できない状況を作り出していると主張している。たとえば、Fortniteのインストールプロセスは以前よりもはるかに煩雑になり、多くのステップを踏まなければならない。このため、多くのユーザーは途中であきらめ、Google PlayストアやGalaxyストアに戻ってしまうという。

こうした背景から、Epicはこの訴訟を通じて、SamsungやGoogleが自社のストアを優位に保つために不当な競争制限を行っていることを証明しようとしている。この訴訟が消費者に与える影響は大きく、ユーザーの自由な選択が守られるかどうかが、法廷での争点となっている。

サムスンとEpicの法廷闘争の行方

Epic Gamesによる訴訟は、SamsungとGoogleという巨大企業に対する挑戦であり、その結果はテクノロジー業界全体に影響を与える可能性がある。Epicは、Samsungの「自動ブロック設定」が市場における競争を妨げ、ユーザーに不利益を与えていると主張している一方で、Samsungはこれを否定し、あくまでセキュリティとプライバシー保護のための機能だとしている。

Samsungは、この訴訟に対して正式な声明を発表し、「我々のデバイスに統合された機能は、ユーザーの安全とプライバシーを守るためのものであり、ユーザーはいつでも『自動ブロック』を無効にすることができる」と述べている。また、GoogleもEpicの主張に反論することが予想される。

法廷闘争の鍵となるのは、SamsungとGoogleが本当に共謀して競争を妨害したのか、そして「自動ブロック設定」がユーザーにどれほどの影響を与えているのかである。この訴訟は、Epicが2020年にAppleやGoogleを提訴した際の流れを汲んでおり、最終的な判決がどのように下されるかに注目が集まる。