サムスンが新たな製品ロードマップでトリプル折りたたみ式スマートフォンの計画を正式に確認した。このデバイスは、同社が進める折りたたみ技術の次なるステップとして注目を集めている。トリプル折りたたみディスプレイを搭載し、展開時には10インチ近いタブレットサイズとなる可能性が指摘されており、モバイルとタブレットの境界を一層曖昧にすることが予想される。

今回の発表は、サムスンがGoogleやQualcommと共同で進めるXR技術や新しいスマートグラス計画と並行して行われ、同社の技術革新の幅広い展開を示唆している。折りたたみスマートフォンの進化をリードしてきたサムスンが、新たなフォームファクターで市場をどう変革するのか、2024年以降の動きが注目される。

サムスンが狙う折りたたみスマホ市場の覇権

サムスンはこれまで、折りたたみ式スマートフォンの分野で市場をリードしてきた。同社がCES 2025で披露したトリプル折りたたみディスプレイのプロトタイプは、競合を圧倒する技術力を象徴している。今回正式にトリプル折りたたみスマートフォンの開発を認めたことで、サムスンはさらにその地位を確固たるものにしようとしている。

このデバイスは、「マルチフォールド」と呼ばれる設計が特徴であり、展開時にはタブレットサイズの大画面を提供することが期待されている。この特性は、特にモバイルデバイスでより大きな作業スペースを求めるユーザー層に大きな魅力を感じさせるだろう。一方で、トリプル折りたたみという新しい構造は、生産コストや耐久性に関する課題も抱えている可能性がある。

競合他社の動きも無視できない。例えばHuaweiは、既にMate XTでトリプル折りたたみコンセプトを導入しており、市場競争が一層激化することが予想される。サムスンがこうした競争をどう乗り越え、技術的な優位性を維持するのかが今後の焦点となる。


トリプル折りたたみスマホの可能性と課題

サムスンが開発を進めるトリプル折りたたみスマートフォンは、単なる進化ではなく、デバイスの在り方を根本から再定義する可能性を秘めている。特に、折りたたみ時と展開時で異なるフォームファクターを提供できる点は、ビジネスやエンターテインメント用途で新たな利用シーンを生み出すだろう。

一方で、技術的な課題も見逃せない。これまでの折りたたみスマートフォンでは、ディスプレイの折り目や耐久性の問題が指摘されてきた。トリプル折りたたみでは、これらの問題がさらに複雑化する可能性がある。また、構造が複雑になることで価格が上昇し、一般消費者にとって手が届きにくい製品となる懸念もある。

サムスンがこうした課題をどのように克服するかは未知数であるが、同社が持つ豊富な資金力と技術開発力は期待に値する。さらに、GoogleやQualcommと連携したXR関連プロジェクトとのシナジーが、新しいユーザー体験を創出する鍵となるだろう。サムスンの挑戦は、モバイルデバイスの未来に向けた重要な一歩である。


XR技術との融合が生み出す新たな価値

今回の発表の中で注目すべき点は、トリプル折りたたみスマートフォンがXR(拡張現実)技術との連携を視野に入れている点である。サムスンはGoogleやQualcommと共同で「Project Moohan」と呼ばれるヘッドセットを開発しており、これがスマートグラスやXRデバイスの中核を担うとされる。

トリプル折りたたみスマートフォンがこれらの技術とどのように統合されるかは、現時点では詳細が不明である。しかし、複数のディスプレイを持つデバイスとして、XR体験をより直感的かつ没入感の高いものにする可能性は高い。この方向性は、エンタープライズ分野でも生産性向上のツールとして期待される。

加えて、サムスンのエコシステムとの統合が鍵となる。トリプル折りたたみスマートフォンを中心に、ヘッドセットやスマートグラスと連動することで、ユーザーにシームレスな体験を提供することが目指されている。これにより、モバイルとXRが融合した新しい生活スタイルが実現するかもしれない。

Source:PhoneArena