GoogleのAndroid 16 Beta 2では、Pixel 9シリーズ向けに「Extra Dim」機能が改良され、より便利になりました。従来は手動でオン・オフを切り替える必要がありましたが、新バージョンでは画面の明るさスライダーに統合され、スライダーを最小まで下げるだけで自動的に有効になります。

この機能により、夜間や暗い場所での画面の見やすさが向上し、明るさを細かく調整する手間が省けます。ただし、現時点ではPixel 9シリーズ専用であり、旧モデルへの対応は不明です。今後のアップデートで他のPixel端末にも広がるのか、注目が集まっています。

Extra Dimの技術的な仕組みとは? ピクセルデータを活用した画面調光

Androidの「Extra Dim」は、単なる画面の輝度調整ではなく、ディスプレイに表示されるピクセルデータ自体をソフトウェア的に変換することで実現しています。具体的には、赤・緑・青(RGB)の各ピクセルの明るさを低減する変換マトリックスを適用し、画面全体の光量を抑える仕組みです。これにより、通常の輝度調整では十分に暗くならないディスプレイでも、より低い明るさを実現できます。

ただし、この技術には限界もあります。ハードウェアレベルでバックライトの輝度を制御するわけではないため、有機EL(OLED)ディスプレイでは比較的自然に暗くできますが、液晶(LCD)ディスプレイでは黒浮きが発生する可能性があります。また、画面の色味にも影響を与えることがあるため、特定のアプリやコンテンツでは色の再現性が変わることも考えられます。

それでも、特に夜間の利用時には目の負担を軽減し、明るさを限界まで下げたいユーザーには有益な機能です。Android 16 Beta 2で「Extra Dim」が明るさスライダーと統合されたことで、より直感的に利用できるようになり、多くの人にとって便利な改善となるでしょう。

Pixel 9シリーズのみ対応の理由とは? 旧モデルに実装されない可能性

今回のアップデートでは、「Extra Dim」の新バージョンがPixel 9シリーズ専用となっています。この制限の理由は明らかにされていませんが、考えられる要因として、ハードウェアの互換性やソフトウェアの最適化が関係している可能性があります。

まず、GoogleはPixelシリーズの最新モデルに対して、ディスプレイのハードウェア制御を強化するために新しい低レベルAPI(HAL: Hardware Abstraction Layer)を導入していると考えられます。

例えば、Android 15では「アダプティブリフレッシュレート」の新機能がPixel 9シリーズ限定で追加されましたが、これはディスプレイの制御方法が従来のモデルと異なるためとされています。同様に、「Extra Dim」の新バージョンもPixel 9シリーズのハードウェア構成を前提に開発された可能性があります。

また、Googleは最新モデルへの優先的な機能提供を行う傾向があります。過去のPixelシリーズでも、新機能が最初は最新端末に限定され、後に旧モデルへ拡張されるケースがありました。今回の「Extra Dim」も、今後のアップデートで他のPixel端末に提供されるかどうかは不明ですが、少なくとも現時点ではPixel 9シリーズ専用となっています。

新しいExtra Dimは本当に使いやすい? 明るさの調整自由度が減る可能性

Android 16 Beta 2での「Extra Dim」の改良は、従来の手動オン/オフから明るさスライダー統合へと変更されました。この変更により、自動的に「Extra Dim」が機能するため、明るさを細かく調整する手間がなくなりました。しかし、一方で調整の自由度が減ったと感じるユーザーもいるかもしれません。

従来の「Extra Dim」は、ユーザーが手動でオンにしたり、明るさレベルに関係なく利用できる仕様でした。しかし、新バージョンではスライダーを最小まで下げたときにのみ有効になるため、例えば「やや暗めの画面にしたいが、Extra Dimは使いたくない」という調整が難しくなる可能性があります。また、明るさの強度を自分で細かく設定できなくなった点も、好みによっては不便に感じるかもしれません。

一方で、スライダー操作のみで画面を暗くできる新仕様は、使い勝手の向上という面で評価できます。特に、夜間にスマートフォンを使う際には、わざわざ設定を開いて「Extra Dim」をオンにする必要がなくなり、スムーズな操作が可能です。Googleがこの機能をどう進化させていくのか、今後のフィードバック次第でさらなる調整が行われるかもしれません。

Source:Android Authority