HUAWEIはマレーシアで開催したイベントにて、折りたたみスマートフォンMate XTの国際展開を正式に発表しました。今回の販売地域には、中国に加えインドネシア、マレーシア、メキシコ、フィリピン、サウジアラビア、UAEが含まれています。
注目すべきは、ヨーロッパ市場での販売計画が未発表であるにもかかわらず、価格が€3,499(約56万円)とユーロ表記で公表された点です。これは中国市場向け1TBモデルの価格を上回る設定となっており、今後の動向に注目が集まっています。
折りたたみスマートフォン市場は競争が激化しており、SamsungやOPPOの新モデルも開発が進んでいるとされています。HUAWEIがどの市場を優先し、どのような戦略で展開を進めるのか、今後の展開が注目されます。
Mate XTの折りたたみ技術が進化 これまでのモデルと何が違うのか
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HUAWEIのMate XTは、トリプルスクリーンとデュアルフォールド機構を採用し、従来の折りたたみスマートフォンとは一線を画しています。一般的な折りたたみスマホは、シングルヒンジを使い画面を二つに折りたたむ構造ですが、Mate XTは二つのヒンジを搭載し、三つのディスプレイを折りたたむことができます。これにより、使用シーンに応じた自由なディスプレイ構成が可能になっています。
従来のMate Xシリーズでは、画面が外側に折れる「アウトフォールディング」デザインが採用されていましたが、Mate XTはそれをさらに進化させ、より多様な使用スタイルを提供します。例えば、折りたたんだ状態ではコンパクトなスマホサイズ、開いた状態ではタブレットサイズ、さらに展開すれば超ワイドスクリーンとしても利用できるのが特徴です。
この構造により、マルチタスク性能が大きく向上しました。折りたたみスマホでは、画面を分割してアプリを同時に開くことが一般的ですが、Mate XTは三つの画面をそれぞれ異なる用途で使える可能性があります。
例えば、一方のディスプレイでビデオ通話をしながら、もう一方でメモを取ることもできるかもしれません。こうしたユニークな使い方が、従来のスマートフォンとは異なる体験を生み出す要因となっています。
ヨーロッパ市場の価格設定から見えるHUAWEIの戦略とは
HUAWEIがMate XTの価格を€3,499とユーロで発表したことは、ヨーロッパ市場への展開を視野に入れている可能性を示唆しています。現在、ヨーロッパ市場での販売計画は正式には発表されていませんが、中国市場と比べて高価格に設定されている点が注目されます。中国での1TBモデルは23,999人民元(約3,300ドル)で販売されていましたが、今回の国際価格は3,655ドル相当と、さらに高い価格帯に分類されます。
HUAWEIは過去にも、海外市場向けのデバイスにプレミアム価格を設定する傾向がありました。特に、Googleモバイルサービス(GMS)非搭載の影響を受ける市場では、独自のエコシステム「HMS(Huawei Mobile Services)」を強化する形で、価格にプレミアムを付けることがありました。Mate XTの価格設定も、こうした背景を考慮したものかもしれません。
一方、ヨーロッパ市場ではSamsungやOPPOの折りたたみスマホが普及しつつあり、HUAWEIがMate XTを展開する場合、競争は厳しくなることが予想されます。特にSamsungのGalaxy Zシリーズは、安定したソフトウェアサポートやGMS搭載による利便性が強みとなっています。
そのため、HUAWEIがMate XTをヨーロッパで成功させるためには、単なる高級モデルではなく、独自の技術革新を強くアピールする必要があるでしょう。
折りたたみスマートフォン市場の未来とHUAWEIの立ち位置
折りたたみスマートフォン市場は、ここ数年で急速に成長しており、各メーカーが次世代モデルの開発に力を入れています。HUAWEIはMate XTで業界トップクラスの技術を示しましたが、競争はさらに激化しています。特にSamsungは、将来的にトリプルスクリーン搭載の新型折りたたみスマホを開発しているとされ、HUAWEIと直接競合する可能性があります。
また、OPPOやXiaomiなどの中国メーカーも独自の折りたたみ技術を発展させています。例えば、OPPOのFind Nシリーズはコンパクトなデザインと使いやすさを重視し、折りたたみスマホの課題とされるヒンジ部分の耐久性にも配慮した設計になっています。
こうした競争相手が増える中、HUAWEIがMate XTの優位性を維持するには、単なるハードウェアの進化だけでなく、使いやすさやソフトウェアの最適化も求められるでしょう。
HUAWEIはすでに次世代のMate XTを準備しているとみられていますが、市場の動向を見ながらどのタイミングで新モデルを投入するかが鍵となりそうです。折りたたみスマートフォンの市場はまだ発展途上であり、今後も各メーカーの技術革新によって大きく変化していくことが予想されます。
Source:Android Authority