Google Pixel Watch 3は、これまでのシリーズから大幅に進化し、フィットネスとスポーツに特化した機能が充実している。新たに45mmサイズを採用したことで視認性が向上し、心拍計測の精度も業界最高レベルに達した。特にランニング関連の機能が充実しており、効率的なトレーニングをサポートする。バッテリー寿命やGPS性能にも改良が加えられたが、まだ課題も残っている。

大型化とハードウェアの進化:新たな45mmケースの利便性

Google Pixel Watch 3では、従来の41mmケースから45mmに拡大され、視認性が大幅に向上している。ディスプレイもAMOLEDからAMOLED-LTPOに変更され、可変リフレッシュレートを1Hzから60Hzまで対応させることで、省電力とスムーズな操作感を両立している。また、最大輝度が2,000ニットに引き上げられ、屋外でも視認性が高い。バッテリー容量も35%増加し、バッテリーセーバーモードでは最大36時間の稼働が可能となった。

充電速度も20%向上し、わずか15分の充電で使用可能な時間が大幅に延びる設計となっている。デュアルチップセットの改良により、日常の使用感も向上しており、パフォーマンスと消費電力のバランスを最適化することに成功している。これらのハードウェアの改良により、Pixel Watch 3は日常使いからスポーツ用途まで幅広いシーンで活躍するスマートウォッチとなっている。新しいサイズ感は、多くのユーザーにとって待望の進化と言えるだろう。

ソフトウェアの強化:ランニング機能とフィットネスメトリクスの拡充

Pixel Watch 3の大きな進化は、ソフトウェア面での強化にある。特にランニング機能が充実し、リアルタイムでのガイドを行う構造化ワークアウトや、地面接触時間、上下動、フォーム分析、ピッチ、ストライド長といったランニング効率メトリクスが新たに追加された。また、Fitbitアプリと連携することで、これらのデータをより詳細に分析し、個々のトレーニング効率を向上させることが可能となっている。

さらに、トレーニング負荷の概念である「Cardio Load」と「Target Load」も導入され、ランニングを中心としたフィットネス活動を科学的に支援する。新たな「ランニングダッシュボード」は、週次や月次のサマリーや新記録の通知を提供し、ユーザーのモチベーションを高める仕組みが整っている。これらの機能強化は、初心者からアスリートまで幅広い層にとって、より効果的なトレーニング体験をもたらすだろう。

心拍精度の向上と新機能:業界トップクラスの性能へ

Pixel Watch 3では、心拍センサーのアルゴリズムが改良され、特にランニング時の精度が飛躍的に向上している。従来の「良好な精度」から「業界トップクラス」へと変貌を遂げ、これまでのレビューの中でも最高の心拍センサーデータを記録している。また、新たに導入された「モーニングブリーフ」機能は、起床時にユーザーにその日の健康状態を通知するもので、他社のスマートウォッチに見られる機能と肩を並べる。

さらに、緊急時には脈拍が停止した際にアラートを発信する「無脈アラート機能」も搭載され、安全性の面でも大きな進化を遂げている。心拍データは他のデバイスへのブロードキャストにも対応しており、サードパーティアプリやデバイスとの互換性が向上した。ただし、センサー精度を最大限に活用するにはGoogleの特定の設定が必要であり、ユーザーエクスペリエンスの一部には改善の余地があるだろう。

バッテリーとGPSの実力:実用性と課題

Pixel Watch 3のバッテリーは、日常使用で最大36時間の駆動が可能で、充電時間の短縮も図られている。通常使用では2日間のバッテリー持ちを実現し、フィットネス用途での使い勝手も良好である。しかし、GPS使用時のバッテリー消費はやや高めで、特に構造化ワークアウト中の消耗が激しい傾向がある。長時間の運動やトレーニングではバッテリー切れのリスクを考慮する必要があるだろう。

GPS性能は全体的には良好だが、一部で信号の安定性に課題が見られる。特に細かなズレや軌跡のブレが散見され、ソフトウェアのアルゴリズムによる調整が求められる場面もある。市街地での使用では信号の乱れが発生することもあり、高精度を求めるユーザーには物足りなさを感じさせる可能性がある。全体として、日常使いには十分なバッテリー寿命とGPS性能を備えているが、さらなる改善の余地があることも否定できない。