サムスンがGalaxy S24シリーズで導入した「Circle to Search」は、AIを活用した人気機能である。だが、この独自機能が他のAndroid端末にも展開される可能性が浮上している。背景には、Googleが開発の大部分を担った事実があり、10月にもTECNOなど他のメーカーがこの機能を実装するとの情報が報じられている。

「Circle to Search」とは何か

「Circle to Search」は、サムスンが自社のGalaxy S24シリーズで初めて導入したAIを活用した検索機能である。この機能は、スマートフォンのカメラや画面上の対象物に円を描くことで、瞬時にその対象物に関する情報を取得できるというものだ。物体認識や画像検索に優れ、日常の中で簡単に使える便利なツールとしてユーザーから高い評価を受けている。

また、「Circle to Search」はGoogleの「Google Lens」技術をベースにしており、Samsung独自のインターフェースを採用している点が特徴だ。そのため、完全な独自技術ではなく、Googleとの共同開発によって実現された機能であることがわかる。これにより、サムスンは他のAndroid端末と差別化を図ることができているが、裏を返せばGoogleの技術に大きく依存しているとも言える。

サムスンは、この機能のプロモーションに多額の資金を投じており、ロンドンの地下鉄や南アフリカの空での広告キャンペーンを実施している。サムスンの製品でのみ利用できるとされていた「Circle to Search」は、今やAndroidのエコシステム全体に大きな影響を与えつつある。

グーグルとの共同開発、PixelとGalaxyの特権

「Circle to Search」は、その見た目や使い勝手こそサムスン独自のものだが、その核心部分はGoogleが開発を主導している。これは、Googleの画像検索技術「Google Lens」に基づいているためであり、Galaxy端末でしか利用できないというわけではない。事実、一部のPixel端末でもこの機能が搭載されている。

この機能がPixelやGalaxyでのみ利用可能である背景には、Googleがこの技術を主に自社製品とサムスン製品に限定して提供していることがある。これにより、サムスンは他のAndroid端末に対して優位性を持つことができたが、その優位性も長くは続かない可能性がある。Googleが「Circle to Search」を他のAndroidメーカーにも提供することを視野に入れているからだ。

Googleは、特定の技術を特定のメーカーに独占させることが少ない。これまでも、Pixel専用の機能がしばらくすると他のAndroid端末に展開される例が多々あった。今回の「Circle to Search」も同様に、特権機能としての地位を失い、他社に広がることが予想される。

TECNOの最新情報、10月からの拡大展開

興味深いのは、中国のスマートフォンメーカーTECNOが自社の折りたたみスマホ「Phantom V Fold 2」で「Circle to Search」を利用可能にする計画があるという情報である。この展開が実現すれば、10月にも他のAndroid端末にも同機能が提供されることになる可能性が高い。

TECNOの発表は、単なる個別メーカーの動きではなく、Googleがこの技術を広範囲に展開しようとしている証拠と見られている。もしTECNOが「Circle to Search」を搭載するならば、他のAndroidメーカーにも同様の機能が解放されることは間違いないだろう。これにより、「Circle to Search」はPixelやGalaxyに限定された機能から、広くAndroid全体で利用可能な標準的なツールへと進化する可能性がある。

ただし、現時点ではGoogleから公式な確認は出ていない。TECNOのコメントが誤解や別の技術に言及している可能性もあり、さらなる情報が待たれる。しかし、過去の事例を見る限り、PixelやGalaxy専用の機能が他社に広がるケースは珍しくないため、今回も同様の流れになることが予想されている。

サムスンの投資が他社に恩恵を与える可能性

サムスンは「Circle to Search」のプロモーションに大規模な投資を行ってきたが、その結果、他のAndroidメーカーがその恩恵を受けることになるかもしれない。サムスンは、ロンドン地下鉄や南アフリカの空での広告キャンペーンを展開し、この機能を広く認知させた。だが、Googleがこの技術を他社に解放することで、サムスンが築いたブランド力が薄れる危険性もある。

興味深いのは、サムスンが自社の技術として積極的にアピールしてきた「Circle to Search」が、実際にはGoogleによる開発が主体であるという点だ。これにより、サムスンがプロモーションに力を入れるほど、結果的に他社もその利益を享受する状況が生まれている。

もし「Circle to Search」がAndroid全体で標準機能として導入されれば、サムスンはこのプロモーションに対する見返りを得られるのかという疑問が生じる。しかし、サムスンにとっても、Googleとの連携を深めることで、今後の製品開発において新たな優位性を得るチャンスが生まれるかもしれない。