Samsungの最新タブレット、Galaxy Tab S10 Ultraは、先代のTab S9 Ultraと比較していくつかの改良点を持つ。新しいチップセットと反射防止ディスプレイが特徴だが、外観や主要な機能には大きな違いは見られない。果たして、このアップグレードは本当に必要なのか、それとも現行モデルでも十分なのか。

ほぼ変わらない外観とディスプレイ

Galaxy Tab S10 UltraとTab S9 Ultraは、外観に大きな違いが見られない。両モデルともにアルミ製の堅牢なボディを持ち、IP68の防水防塵性能を備えている。サイズや重さもほぼ同じであり、Tab S10 Ultraは若干の軽量化が図られたものの、日常的な使用ではその差は感じにくい。背面にはSペンをマグネットで固定できるストリップが配置され、カメラシステムもデュアルレンズを採用している点は共通している。

ディスプレイも同様に、両モデルとも14.6インチのDynamic AMOLED 2Xパネルを採用しており、解像度2960×1848ピクセル、リフレッシュレート120Hzを実現している。違いがあるとすれば、Tab S10 Ultraには新たに反射防止コーティングが施され、屋外での使用時に画面の見やすさが向上している点だ。この改良は、特に明るい場所での作業において重要であり、反射によるストレスを軽減する。ただし、室内使用が主であれば、S9 Ultraでも十分に満足できる画質を提供する。

パフォーマンスの違いは?新チップセットの実力

Galaxy Tab S10 Ultraは、MediaTekのDimensity 9300 Plusを搭載し、前モデルのSnapdragon 8 Gen 2と比較して、CPUで18%、GPUで28%の性能向上が見込まれている。この向上により、リソースを多く消費するアプリやタスクにおいても、スムーズな操作が可能となっている。特に複数のアプリを同時に使用するマルチタスクや、写真・動画編集などの高負荷作業では、性能の差を感じるだろう。

一方で、Tab S9 UltraのSnapdragon 8 Gen 2も依然として十分なパフォーマンスを提供しており、通常の使用では性能の限界を感じることは少ない。両モデルともに最大16GBのRAMを搭載し、1TBまでのストレージを選択できるため、ストレージ不足の心配もない。実際、S9 Ultraも依然として多くのユーザーにとっては高性能なタブレットであり、最新のゲームやアプリケーションを快適に動作させることが可能である。

Sペンやアクセサリーは進化しているか?

Sペンは、Samsungのタブレットにおいて重要なアクセサリーであり、Tab S10 UltraとTab S9 Ultraの両方でサポートされている。両モデルともに、Sペンを使った手書き入力やスケッチ、メモ機能においては、ほとんど差がない。Sペン自体の機能や性能に大きな進化はなく、描画の精度や遅延の少なさは、どちらのモデルでも快適に使えるレベルである。

アクセサリーについても、Sペンに加えて、Samsungは各種キーボードカバーや保護ケースを提供している。注目すべきは、Tab S10 Ultra用に設計されたアクセサリーの多くが、Tab S9 Ultraでも互換性がある点だ。これにより、既にS9 Ultraを使用しているユーザーは、アクセサリーを再購入する必要がない。また、Samsung DeX機能により、タブレットをデスクトップPCのように利用できる点も共通しており、外部モニターやキーボードとの連携が強化されている。

タブS10 Ultraへのアップグレードは価値があるのか?

Galaxy Tab S10 Ultraへのアップグレードは、特に最新のスペックや機能を求めるユーザーにとっては魅力的である。反射防止コーティング付きのディスプレイや、MediaTek Dimensity 9300 Plusチップセットの性能向上は、ハイエンドの作業環境を求めるユーザーにとって有利である。また、長期的なソフトウェアサポートの提供も、S10 Ultraのメリットとなるだろう。

しかし、すでにTab S9 Ultraを所有しているユーザーにとっては、アップグレードの必要性は低い。S9 Ultraも依然として高性能であり、日常の作業や娯楽において不満を感じることはほとんどない。特に、現在のS9 Ultraの価格が下がっていることを考えると、新たなモデルを購入するよりも、コストパフォーマンスの面でS9 Ultraが優れている場合も多い。結果として、アップグレードの決定は、ユーザーのニーズと予算次第である。