ファーウェイは、独自開発したAndroid非依存の新しいOS「HarmonyOS Next」を発表した。これまでAndroidのオープンソースコードに依存していた同社のシステムだが、今回のバージョンは完全に独自のカーネルとプログラミング言語で構築されている。ファーウェイは、すでに10億台以上のデバイスにHarmonyOSを搭載しており、今後もさらなるエコシステムの拡大を目指す。
ファーウェイがAndroidを完全に切り離した新OSを発表
ファーウェイは、長年Androidのオープンソースコードに依存していた同社のシステムから完全に自立した新しいOS「HarmonyOS Next」を発表した。この発表により、同社はついにAndroidエコシステムからの完全な脱却を果たし、独自の道を進み始めたことになる。これまでのバージョンでは、Androidのコードを使用しつつも、ファーウェイ独自の機能を追加していたが、今回のHarmonyOS Nextは、そのような依存から完全に脱却している。
新しいバージョンのOSは、独自のカーネル、プログラミング言語、AIフレームワークを搭載しており、スマートデバイス向けに最適化されている。この発表は、同社がAndroidやGoogleのエコシステムに頼らずとも自立していく強力なメッセージであり、中国市場だけでなく、グローバル市場にも大きな影響を与えると見られている。
ファーウェイの技術部門のトップであるリチャード・ユー氏は、この新しいOSが持つ可能性について、「私たちは他社に依存しない、完全に独立したエコシステムを作り上げた」と語った。同氏は、HarmonyOSが今後も進化し、さまざまなアプリケーションやデバイスとシームレスに連携できることを強調している。
HarmonyOS Nextが実現する新しいエコシステムの構築
ファーウェイは、HarmonyOS Nextのリリースを通じて、新しいエコシステムの構築を目指している。これまで同社のOSはAndroidコードに依存していたが、今回のバージョンはその依存を完全に排除し、ファーウェイ独自の技術を全面に押し出す形となった。特に、プログラミング言語やAIフレームワークが独自開発されたことにより、開発者にとっては新しい技術的チャレンジが求められる。
この新しいエコシステムは、単にOSを提供するだけではなく、アプリケーション開発者やパートナー企業と協力して、HarmonyOSベースのサービスやアプリが急速に拡充されていることが特徴である。すでに15,000以上のネイティブアプリが開発されており、今後もその数は増加すると見込まれている。
ファーウェイは、このエコシステムを構築するにあたり、20,000人以上のエンジニアをHarmonyOSの開発に投入している。さらに、数万社のアプリ開発パートナーがエコシステムの構築に貢献しており、技術者の総数は数十万人にも達する。こうした規模での開発が、HarmonyOSの迅速な普及と進化を支えている。
一億台以上のデバイスで使用されるHarmonyOSの拡大
ファーウェイのHarmonyOSは、すでに一億台以上のデバイスで使用されている。これは、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、さらにはスマート家電に至るまで、幅広いデバイスに搭載されているということを意味する。特に、モバイルデバイス向けのHarmonyOSは急速に拡大しており、5Gネットワークに対応したスマートフォンの50%が同OSを採用している。
このOSは単なるデバイスの制御システムではなく、IoT(モノのインターネット)を強く意識した設計がなされている。複数のデバイス間でシームレスに情報を共有し、連携することが可能であり、エコシステム全体での相互運用性が強化されているのが特徴だ。これにより、ユーザーはさまざまなデバイスを通じて、一貫した使い心地を体験できる。
ファーウェイは、今後さらに多くのデバイスでHarmonyOSを導入し、エコシステムの拡大を目指している。同社は、世界中の開発者や企業と連携しながら、さらに多様な分野での導入を促進する計画である。このような動きにより、HarmonyOSは今後さらに普及していくことが予想されている。
中国から世界へ:アプリの移行でグローバル展開を目指す
ファーウェイは、HarmonyOSを中国市場から世界市場へと拡大する計画を明確にしている。現在、グローバル市場におけるHarmonyOSのシェアは4%に留まっているが、今後、さらに多くのアプリやデバイスが同OSに移行することで、AppleのiOSやGoogleのAndroidに次ぐ、第三のモバイルOSとしての地位を確立することを目指している。
アプリの移行は、OSの普及において極めて重要な要素である。ファーウェイは、開発者と緊密に連携し、アプリの移行作業を加速させるための支援を行っている。すでに中国国内では、18の異なる分野でネイティブアプリの開発が進められており、これにはソーシャルメディア、エンターテインメント、ゲーム、金融などが含まれる。
エリック・シュー氏(ファーウェイ副会長)は、「まずは中国市場でエコシステムを確立し、その後、海外市場に順次拡大していく」と述べている。この発言からも、同社がグローバル市場での成長を視野に入れていることが明確である。HarmonyOSの成功は、アプリケーションの移行とパートナー企業の支援にかかっている。