Googleは、Androidデバイスに対して最大7年間のアップデートを提供する計画を発表した。
この新しいLongevity GRFプログラムにより、スマートフォンの寿命が飛躍的に延びる見通しだ。
Pixel 8シリーズやSamsungの新モデルが早速このプログラムの対象となり、長期的なサポートが確保される。

Pixelシリーズにおけるアップデート保証の強化

Googleは、2023年に発表したPixel 8シリーズから、同シリーズに最大7年間のAndroidおよびセキュリティアップデートを保証する新しい方針を打ち出した。これまでAndroidデバイスのアップデート保証は2〜3年程度が一般的であり、ユーザーは短いサポート期間に不満を抱えていたが、Googleのこの動きにより、Pixelシリーズの魅力は大幅に向上した。特に、2024年に登場予定のPixel 9シリーズも、このアップデート延長の恩恵を受けることが確認されている。

このアップデート保証の強化は、ハードウェアの性能が向上する中で、端末の買い替えサイクルを長期化させる狙いがあるとされている。Googleは、端末のライフサイクルを延ばすことで、持続可能なデバイスの利用を促進し、環境負荷の軽減も図っていると考えられる。また、この保証の延長により、従来の短命なAndroidデバイスに対するイメージが改善され、Pixelシリーズは長期的に安定したソフトウェアサポートを期待できる端末として市場での評価を高めている。

他のメーカーへの影響:Samsungも新たなアップデートポリシーを導入

Googleの新しいアップデート保証の発表に続き、他の主要Androidメーカーも方針を見直す動きが見られる。特にSamsungは、Galaxy S24シリーズからPixelに倣い、最大7年間のアップデートを保証するポリシーを発表した。このポリシーは、2024年のGalaxy Z Flip 6やFold 6などの新モデルにも適用される予定であり、サムスンユーザーにも長期的なサポートが期待される。

Samsungのこの動きは、Googleが導入した「Google Requirements Freeze」(GRF)プログラムが大きく影響しているとされる。このプログラムにより、プロセッサメーカーは複数のAndroidバージョンをサポートできるようになり、デバイスメーカーはソフトウェアの更新頻度を減らしつつ、最新のOSを継続的に提供できるようになった。これにより、Samsungのような大手メーカーも、競争力を維持するために長期のアップデート保証を導入する必要に迫られた。

Longevity GRFプログラムの技術的な概要

Googleが展開する「Longevity GRFプログラム」は、端末の長期的なサポートを実現するための技術的な基盤である。このプログラムの主な特徴は、プロセッサメーカーが提供する「ベンダーサイド」のソフトウェアが最大7世代のAndroidバージョンで利用可能になる点にある。これにより、端末メーカーは複雑なソフトウェア更新を回避しつつ、複数年にわたるOSアップデートを可能にしている。

具体的には、最初の3年間、端末のソフトウェアは「凍結」され、更新が行われない。その後、Googleの認証を得るためにLinuxカーネルの更新が必要になるが、これによりセキュリティ更新が保証される仕組みとなっている。このプロセスにより、デバイスメーカーは必要最低限のソフトウェア更新を行いつつ、セキュリティ面でのリスクを低減し、ユーザーに長期的な安心感を提供することができる。

長期サポートの課題と今後の展望

GoogleのLongevity GRFプログラムには大きなメリットがある一方で、いくつかの課題も指摘されている。特に問題となるのは、新しいAndroidバージョンに対応するハードウェア機能が制限される可能性がある点である。たとえば、ベンダーのソフトウェアが古いバージョンのまま「凍結」されている場合、新機能に対応するための更新が難しくなる場合がある。

具体的には、Android 13で導入された「懐中電灯の明るさ調整API」などの機能は、古いソフトウェアが動作する端末では利用できない可能性がある。このような問題に対しては、ベンダー側がソフトウェアを柔軟に更新できる仕組みを設けることが求められているが、現時点では完全な解決策は示されていない。しかし、Googleがこのプログラムの改善を進める中で、今後はより多くの新機能に対応しつつ、長期サポートを維持する技術的な進展が期待される。