サムスンの最新フラッグシップスマートフォン「Galaxy S25 Ultra」が、ベンチマークテストにおいてアップルの「iPhone 16 Pro Max」を凌駕する性能を示しました。特に、Geekbench 6.3 のマルチコアスコアでは、Galaxy S25 Ultra が 9,829 を記録し、iPhone 16 Pro Max の 8,306 を大きく上回りました。
また、3DMark Wild Life Extreme Unlimited テストでも、Galaxy S25 Ultra は 34.42 fps を達成し、iPhone 16 Pro Max の 22.4 fps を大幅に上回っています。これらの結果は、Galaxy S25 Ultra に搭載された最新の Snapdragon 8 Elite for Galaxy チップセットの性能向上によるものと考えられます。
一方、シングルコア性能では iPhone 16 Pro Max が優位を保っており、両者の強みが異なることが明らかになりました。このような性能差は、ユーザーの選択に影響を与える可能性があります。
Snapdragon 8 Elite for Galaxyがもたらす性能向上とは
Galaxy S25 Ultraのパフォーマンス向上の要因として、Qualcommが特別設計した「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」が大きな役割を果たしています。このチップは、通常版のSnapdragon 8 Gen 3とは異なり、Galaxyシリーズ専用に最適化されており、クロック速度や電力管理の改善が施されています。
特に注目すべき点は、CPUのマルチコア性能の向上です。Geekbench 6.3のスコアでは、Galaxy S25 Ultraが前モデルのS24 Ultraと比較して約35.6%向上しており、これは単なるチップの進化だけではなく、放熱システムや電力効率の改良が影響していると考えられます。
従来のExynosモデルと比べても、Snapdragon版のGalaxyが安定した性能を発揮することが多く、特に長時間のゲームプレイや高負荷なタスクにおいてその優位性が際立ちます。
さらに、3DMark Wild Life Extreme Unlimitedのテストでは、グラフィック性能の向上も明らかになりました。Snapdragon 8 Elite for GalaxyのGPUは、特にAI処理の最適化が進んでおり、これがリアルタイムのグラフィックスレンダリングやカメラ機能に影響を与えています。その結果、ゲームのフレームレートが安定し、動画編集などの高負荷な作業でも快適に動作することが確認されています。
ただし、すべての面で優位というわけではありません。シングルコア性能に関しては、AppleのA18 Pro(仮称)が依然として優れた結果を示しており、iPhone 16 Pro Maxは単一タスクの処理速度で優位性を持っています。これは、Appleがチップ設計においてシングルスレッドの最適化を重視しているためと考えられます。
ディスプレイ技術の進化がもたらす視覚体験の違い
Galaxy S25 Ultraは、サムスンの最先端ディスプレイ技術を搭載し、特に明るさと色再現においてiPhone 16 Pro Maxを上回る結果を出しました。最大輝度は1,231ニトに達し、屋外での視認性が向上している点が特徴です。特に直射日光下での使用では、この輝度差が実用性に大きく影響することが予想されます。
さらに、色域の広さもGalaxy S25 Ultraの強みです。DCI-P3カバー率107.3%という数値は、映像制作や高品質な写真編集を行うユーザーにとって重要な要素となります。
一般的に、sRGBやDCI-P3の色再現率が高いディスプレイは、より忠実な色表現が可能になり、HDRコンテンツの視聴時にも映像の鮮明さが際立ちます。一方で、iPhone 16 Pro Maxは色の正確性には優れているものの、カバー率の広さではGalaxy S25 Ultraに及ばない結果となりました。
また、Galaxy S25 UltraのディスプレイはLTPO技術を活用し、1Hzから120Hzまでの可変リフレッシュレートを採用しています。これにより、バッテリー消費を抑えつつ、スクロールやアニメーション表示時には滑らかな操作感を提供します。特にゲームや動画視聴時には、この高リフレッシュレートが大きな違いを生み出すでしょう。
ただし、ディスプレイの進化がバッテリー消費に与える影響も無視できません。S25 Ultraのバッテリー持続時間は17時間15分と、前モデルより改善されていますが、iPhone 16 Pro Maxの17時間35分には及びません。ディスプレイの輝度やリフレッシュレートの調整次第で、実際の使用時間には個人差が出ると考えられます。
Galaxy AIとApple Intelligence 進化するスマートフォンの知能戦争
Galaxy S25 Ultraには、サムスンの最新AI機能「Galaxy AI」が搭載されており、これがAppleの「Apple Intelligence」との競争を加速させる要因となっています。特に、サムスンはGalaxy AIの音声認識機能「Audio Eraser」を強化し、背景ノイズを自動で除去する機能を追加しました。これは、動画撮影時や通話時の音質向上に寄与し、特に屋外や騒がしい環境での使用時に違いを実感できるポイントです。
また、Galaxy AIはカメラ機能にも影響を与えています。特に、夜間撮影やポートレートモードでは、AIが被写体をより正確に認識し、背景の処理を最適化することで、従来よりも自然な仕上がりが得られます。
iPhone 16 Pro Maxのカメラも高度なAI処理を行っていますが、Galaxy S25 Ultraはサムスン独自の画像処理技術「Super HDR」や「ProVisual Engine」を活用し、特に明暗差の激しいシーンでの表現力を向上させています。
一方で、Apple Intelligenceの強みは、デバイス上でのプライバシー保護と統合性にあります。iOS 17(仮称)に搭載される新機能では、AIによるテキスト要約や音声入力の精度向上が期待されており、これがAppleのエコシステム内でシームレスに機能することが予測されます。
Galaxy AIはGoogleのGemini AIを活用することでクラウド連携の柔軟性を持っていますが、プライバシー面ではAppleの方が優位と考えられます。
今後、AIの活用がスマートフォンの使い勝手を大きく変えていく中で、Galaxy S25 UltraとiPhone 16 Pro Maxのどちらが優れているかは、ユーザーの利用シーンによって異なるでしょう。音声処理やカメラの最適化を重視するならGalaxy AIが魅力的に映り、一方でエコシステムの統合性やプライバシーを重視するならApple Intelligenceが強みを発揮する可能性があります。
Source:Laptop Mag