Googleは2025年1月8日、Pixel 4aに対してAndroid 13の自動アップデートを開始しました。このアップデートには新しいバッテリー管理機能が含まれており、一部のデバイスでは使用可能なバッテリー容量が減少し、充電性能にも影響が出る可能性があると報告されています。具体的には、元のバッテリー容量が約3080mAhであったのに対し、アップデート後には約1539mAhと半減したとの指摘があります。
これにより、バッテリー駆動時間の大幅な短縮が懸念されています。Googleは影響を受けたユーザーに対し、無料のバッテリー交換、50ドルの補償、または新しいPixelスマートフォン購入時の100ドル割引を提供すると発表しました。
日本のユーザーは、現金または割引コードを受け取ることが可能です。このアップデートは、バッテリーの安定性向上を目的としていますが、具体的な修正内容については明らかにされていません。一部のユーザーからは、アップデート後のバッテリー寿命の低下や充電時間の延長について報告が寄せられています。Googleは、該当するユーザーに対してサポートを提供する方針を示しています。
Pixel 4aのバッテリー制限はなぜ必要だったのか
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今回のアップデートで最も注目されているのは、バッテリー容量が約半減したという点です。従来の3080mAhから1539mAhへの低下は、通常のソフトウェアアップデートでは考えにくいほどの大きな変化です。この措置の背景には、バッテリーの劣化による安全上の問題があると推測されています。
リチウムイオンバッテリーは長期間使用すると膨張や発熱といったリスクが増すため、メーカーはファームウェアの更新で充電上限を制限することがあります。
しかし、今回のPixel 4aのケースでは、通常の制限措置よりも大幅なバッテリー容量の低下が発生しており、ユーザーにとっては想定外の影響が出ています。Googleはアップデートの公式説明で「バッテリー性能の安定化」を目的と述べていますが、具体的な制限内容には触れていません。
これにより、バッテリー駆動時間の短縮だけでなく、充電の頻度が増えることで利便性が損なわれる可能性があります。
特に、Pixel 4aは発売から時間が経過しているため、新品のバッテリーを維持している端末は少なく、多くのユーザーが劣化したバッテリーを抱えた状態でアップデートを適用したことになります。結果として、バッテリー寿命を延ばすための措置が、かえってユーザーの不便を引き起こしていると言えます。
ダウングレードが不可能に Googleの意図とは
もう一つの大きな問題は、このアップデートが強制的に適用され、ダウングレードが不可能になっている点です。通常、Androidの開発者向けサイトでは、過去のファームウェアバージョンのイメージファイルが提供されており、ユーザーは手動で旧バージョンに戻すことができます。しかし、Pixel 4aに関しては、アップデート後のバージョン以外が削除されており、過去の状態に戻す手段が失われています。
これにより、バッテリー制限を回避しようとするユーザーは、Googleの提供するアップデートを受け入れるしか選択肢がなくなりました。このような措置は、メーカー側の意図がある程度明確でなければユーザーの信頼を損なう要因となります。特に、Pixel 4aはすでに公式のサポート期間を過ぎているため、「最後のアップデート」として配布されたものが、事実上の仕様変更を含む形になっていることは疑問が残ります。
また、バッテリーの管理がソフトウェアによって強制されることで、ユーザーによるバッテリー交換の選択肢が狭まることも問題です。本来であれば、新しいバッテリーに交換すれば元の性能を維持できるはずですが、今回のアップデートではソフトウェア側でバッテリー制限が施されているため、たとえ新品に交換しても本来の性能が発揮される保証はありません。
Googleの補償は十分か ユーザーに求められる判断
影響を受けたユーザーに対し、Googleは50ドルの補償、もしくは新しいPixelスマートフォン購入時の100ドルの割引を提供しています。しかし、これが十分な対応といえるかどうかは議論の余地があります。特に、Pixel 4aのバッテリー寿命が半減したことで、実用性が大きく損なわれたことを考えると、50ドルの補償ではバッテリー交換費用すら賄えない可能性があります。
また、新しいPixelスマートフォンの購入を促す100ドルの割引は、買い替えを考えているユーザーにとってはメリットかもしれませんが、Pixel 4aを長く使いたいと考えていたユーザーにとっては、受け入れがたい選択肢となるでしょう。さらに、Googleがこの補償をどの国のユーザーにも提供するのか、また、対象となるPixel 4aの条件がどこまで適用されるのかは明確ではありません。
結果として、影響を受けたユーザーは、Googleの補償を受け入れて買い替えを検討するか、別の方法でバッテリー問題に対応するかを選ぶ必要があります。しかし、ソフトウェア制限によってバッテリー交換が根本的な解決策にならない可能性があることを考えると、Googleの補償は十分とは言えないかもしれません。今後、ユーザーからの反発が大きくなれば、Googleが追加の対応を迫られる可能性も考えられます。
Source:heise online