Qualcommは、新たな5Gモデム「Snapdragon X85」を発表しました。本製品は、最大3.7Gb/sのアップロード速度と12.5Gb/sのダウンロード速度を実現し、従来モデルを超える高速通信性能を備えています。6xキャリアアグリゲーション(CA)による広帯域接続を可能にし、AIプロセッサの統合により消費電力を抑えつつ通信効率を向上させる設計となっています。

さらに、サブ6GHzおよびミリ波(mmWave)に対応し、最新の衛星通信技術もサポート。スマートフォンだけでなく、産業向けIoTや固定無線アクセス(FWA)など、多岐にわたる用途での活用が期待されています。Qualcommは、X85を搭載したデバイスの商用化を2025年内に開始すると発表しており、MWC 2025の会場でそのデモを実施中です。

Snapdragon X85が実現する超高速5G通信の進化

QualcommのSnapdragon X85は、最大3.7Gb/sのアップロード速度と12.5Gb/sのダウンロード速度を実現し、5G通信の新たなステージへと進化させました。本モデムは、6xキャリアアグリゲーション(CA)技術を採用し、400MHzの広帯域接続を可能にしています。これにより、前世代のX80と比較して通信速度が大幅に向上し、データ転送の効率が飛躍的に高まっています。

さらに、X85はQualcomm独自の「Smart Transmit Plus」技術を搭載し、信号品質の最適化を図っています。AIによる電力管理機能も強化され、低消費電力で安定した通信が可能になりました。この技術は特に高負荷の通信環境で効果を発揮し、ストリーミングやオンラインゲームの安定性向上に寄与します。

サブ6GHzとミリ波(mmWave)の両方をサポートすることで、都市部の密集したエリアから地方の広範囲なエリアまで、最適な接続環境を提供します。また、新たに衛星通信との連携も可能となり、地上ネットワークが利用できない状況でも通信の確保が期待されています。


AI技術がもたらす省電力と通信の最適化

Snapdragon X85にはQualcommの最新AIプロセッサが統合され、5G通信の最適化が図られています。このAIは、電波状況に応じてリアルタイムで接続環境を判断し、最適な通信方法を選択することで、消費電力を抑えながら速度を維持します。これにより、従来の5Gモデムと比べて最大30%の電力効率向上が可能となっています。

特に、バッテリーの持続時間が求められるスマートフォンやモバイルデバイスにおいて、AIによる省電力機能の恩恵は大きいです。高精度な電力管理によって、動画視聴やオンライン会議の使用時間が延び、バッテリーの消耗を最小限に抑えることができます。また、ネットワークが混雑する環境でもAIが適切な周波数帯域を選択し、通信の安定性を確保します。

さらに、通信環境が不安定な場所でも、AIがネットワーク状態を分析し、最適なデータ転送経路を選択します。この技術により、地下鉄や屋内などの電波が弱い場所でも、これまで以上に快適な通信環境が提供されることが期待されています。


Snapdragon X85はどのようなデバイスに搭載されるのか

QualcommはSnapdragon X85を、スマートフォンだけでなく、産業向けIoTデバイスや固定無線アクセス(FWA)など、多岐にわたるデバイスに搭載する方針を示しています。特に、高速データ通信が求められる次世代のモバイルルーターや、家庭向けの5Gブロードバンド端末にとっては、X85の高性能が大きな利点となります。

また、PC市場でも5G対応のノートPCへの採用が進むと予想されます。リモートワークが普及する中で、高速なモバイル通信は必須となり、Snapdragon X85の超高速5GはノートPCの通信性能を一段と向上させる可能性があります。

さらに、XR(拡張現実)やクラウドゲームの分野でも、Snapdragon X85の低遅延・高帯域幅が活躍する場面が増えるでしょう。特に、VRヘッドセットなどのワイヤレス接続が求められるデバイスでは、遅延の少ない5G通信が没入感の向上に貢献すると考えられます。今後、X85を搭載した新デバイスがどのように市場に投入されるのか、注目が集まります。

Source:NotebookCheck.net