Epic GamesとGoogleの対立が、Google Playストアに大きな変革をもたらそうとしている。フォートナイトの開発会社であるEpic Gamesは、Googleがアプリストア市場において独占的地位を利用していると訴えた。これに対し、裁判所はEpicの主張をほぼ認め、Googleは競合するアプリストアを自らのプラットフォーム上で許容しなければならなくなった。

Epic Games、Google Playストア訴訟でほぼ全面勝訴

Epic Gamesは、Googleが自社のアプリストア「Google Play」を利用して市場における独占的地位を築いていると主張し、訴訟を起こした。この訴訟において、裁判所はEpic Gamesの主張を広範囲にわたり支持した。判決では、Googleは競合するアプリストアをGoogle Play内で受け入れ、他のアプリストアがPlayストアにアクセスできるようにする義務を負うこととなった。

この裁定により、Googleは開発者に対し、自社の課金システム「Google Play Billing」を強制することも禁止された。また、アプリ内購入や他のダウンロード手段をユーザーに案内することが許可され、これまでの独占的な課金モデルに風穴が開くこととなった。さらに、Googleは開発者に対して、競合ストアにアプリを公開しないようにインセンティブを与えることも禁止されている。

これにより、Google Playのビジネスモデルが大幅に変更される可能性が高く、エコシステムにおける競争環境が劇的に変化することが予想される。

競合アプリストアのGoogle Play進出は11月1日から

裁判所の判決に基づき、Googleは2023年11月1日から競合するアプリストアの受け入れを開始することになる。この期間中、Epic Gamesをはじめとする他のアプリストアがGoogle Play上で配布され、既存のGoogle Playアプリと同様にアクセスできるようになる。開発者は、自身のアプリを他のストアで提供するかどうかを自由に選択できるが、この措置はユーザーの選択肢を大きく広げるものとされている。

ただし、Googleはこの判決に異議を唱え、控訴を準備している。現在のAndroidエコシステムでは、Google Play以外にもアプリを提供する手段が存在しているため、この新しい措置は不要であり、消費者のプライバシーとセキュリティを危険にさらす可能性があるとGoogleは主張している。

裁判所はまた、セキュリティに関しては、Googleが不正なアプリストアやアプリを排除するために必要な措置を取ることができるとしたため、一定の制約のもとで競合ストアが導入されることになる。

Googleの反発と控訴、今後の展開

Googleはこの判決に対し強く反発し、控訴の準備を進めている。Googleの規制担当副社長リー・アン・マルホランドは、この裁定により消費者のプライバシーとセキュリティが脅かされると懸念を表明している。彼女は、既存のAndroidプラットフォームには、サムスンのGalaxy StoreやEpic Games Store、さらにはサイドローディングによるアプリの配布が可能なため、十分な競争が存在していると主張している。

Googleはこの控訴が成功するまでの間、Epic Gamesが要求した変更の施行を延期するよう裁判所に求めている。そのため、11月1日に予定されている競合ストアの導入が遅れる可能性が高い。Googleにとって、この裁定がもたらす影響は非常に大きく、ビジネスモデルや収益構造に多大な影響を与えることは間違いない。

今後の焦点は、裁判所がGoogleの訴えをどのように判断するか、またGoogleがどのようにしてこの判決に対応していくかに移っている。

プライバシーとセキュリティへの懸念も浮上

Epic Gamesの勝訴によってGoogle Playに競合アプリストアが導入されることになるが、この動きに対してはプライバシーとセキュリティ面での懸念も多く浮上している。特に、Googleはこれまでアプリの審査プロセスを厳格に行い、不正なアプリが流通しないようにしていたが、競合ストアの導入によってこの監視機能が弱まる可能性がある。

判決では、Googleがセキュリティを確保するために「必要かつ適切に限定された」措置を講じることが許可されているが、実際にどのような形でこれが実施されるかは不透明である。特に、ユーザーが他のストアを利用する際にどのようなリスクが伴うかについて、消費者の理解が十分でない可能性も指摘されている。

Googleはこの点について、消費者のプライバシーとセキュリティを守るための措置を引き続き講じると述べているが、競合ストアがもたらす新たなリスクにどのように対応していくかが今後の重要な課題となる。