GoogleとSamsungが共同開発した次世代空間オーディオ技術「Eclipsa Audio」が、Androidオープンソースソフトウェア(AOSP)に導入されることが発表された。この技術はDolby Atmosの無料競合技術として注目されており、2025年以降にはSamsungや複数メーカーのテレビ、サウンドバーにも搭載される予定である。

Eclipsa AudioはYouTubeやGoogle Chromeへの対応が進む一方で、現時点ではイヤホンやヘッドホンといったモバイルデバイスへのサポートが未定である。このため、AppleのAirPodsシリーズで体感できるような臨場感あふれる3Dオーディオ体験に匹敵するかどうかは未知数だ。1月22日のSamsung Unpackedイベントでさらなる進展が期待されるが、他社製品やストリーミングサービスとの連携が鍵となるだろう。

Eclipsa Audioの技術的特徴とDolby Atmosとの違い

Eclipsa Audioは、GoogleとSamsungが共同開発した空間オーディオ技術である。この技術の特徴は、Dolby AtmosやDTS:Xに匹敵する3Dオーディオ体験を無料で提供する点にある。特に、Android Open Source Project(AOSP)への対応が予定されており、オープンソースの強みを活かして多くのデバイスで利用できるようになる可能性が高い。

一方、Dolby Atmosはすでに多くの映画館やストリーミングサービスで広く採用されており、AppleのAirPodsシリーズではヘッドトラッキング機能による没入感の高い体験を提供している。Eclipsa Audioがこの分野で競争力を持つには、まずはこうした高度な機能を実現する必要がある。

特に、Google ChromeやYouTubeへの対応が先行して発表されたが、主要なストリーミングサービスやヘッドトラッキング機能の統合が進まない限り、利用者の体験価値は限定的なものにとどまるだろう。

無料という利点を活かしつつ、Dolby Atmosの成熟したエコシステムにどのように対抗していくのか、Eclipsa Audioの将来的な戦略が注目される。

ストリーミングサービスとの連携がカギを握る理由

Eclipsa Audioが市場での地位を確立するには、ストリーミングサービスとの連携が必要不可欠である。YouTubeへの対応が予定されているものの、NetflixやPrime Video、Disney Plusといった主要サービスに採用されることで初めて、消費者にとって真に価値のある技術となるだろう。

しかし現状では、これらのサービスはすでにDolby Atmosをサポートしており、追加の費用をかけずに高品質なオーディオ体験を提供している。

Eclipsa Audioの採用には、映画やテレビ番組のフォーマット変換という課題が立ちはだかる。Googleはプロセスを効率化するツールを提供するとしているが、それでも制作スタジオにとってはコストと労力が伴うため、採用が進む保証はない。

ただし、Eclipsa Audioが無料で利用可能である点は、一部の新興サービスや予算に制約のあるプロジェクトにとって魅力的な選択肢となる可能性がある。これが広く普及すれば、ストリーミング市場全体に変革をもたらすかもしれない。

サムスンUnpackedイベントへの期待

Eclipsa Audioの次なる進展が発表されると期待されているのが、Samsung Unpackedイベントである。このイベントでは、Galaxy S25の発表が予想されており、Eclipsa Audioがスマートフォンや新型Galaxy Buds Pro 3で採用される可能性が高いと見られている。このような製品展開が実現すれば、Eclipsa Audioが市場での認知度を一気に高める契機となるだろう。

ただし、Samsung単独での普及は限界がある。市場全体での支持を得るには、SonyやBose、1Moreといった主要メーカーとの連携が不可欠である。また、低価格帯のヘッドホンやイヤホンにも対応することで、より幅広い層の消費者にリーチすることが求められる。

GoogleとSamsungがどのような戦略でEclipsa Audioを普及させるのか。Samsung Unpackedイベントはその方向性を示す重要な場となるだろう。

Source:TechRadar