Samsungが新型モバイルプロセッサ「Exynos 2500」の量産を開始しました。しかし、同社の3nm GAAプロセスの歩留まりの問題により、大規模な生産には至らず、月産5,000個程度と非常に限定的な供給になる見込みです。
このプロセッサは、本来Snapdragon 8 Eliteと競争するフラッグシップ向けSoCとして期待されていましたが、量産の遅れによりGalaxy S25シリーズへの採用は見送られたとされています。それでもSamsungは、最適化を進め、2025年後半に何らかのデバイスでの採用を目指しているようです。しかし、現時点での供給量を考えると、搭載されるモデルはごく一部に限られる可能性が高いでしょう。
また、AMDと共同開発したGPU「Xclipse 950」を採用するものの、ベンチマークではSnapdragon 8 Eliteに及ばない結果が報じられています。この状況を受け、SamsungはExynos 2500を「Galaxy Z Flip 7」など特定のモデルに限定し、価格競争力を強化する戦略を取る可能性があります。正式な発表に向け、今後の動向が注目されます。
Exynos 2500の歩留まり問題と3nm GAAプロセスの課題

Samsungが採用した3nm GAA(Gate-All-Around)プロセスは、従来のFinFET技術よりも高い性能と低消費電力を実現することが期待されています。しかし、今回のExynos 2500の生産状況から見ると、この技術の実用化には依然として大きな課題があることが明らかです。特に、歩留まりの低さは深刻で、現時点では50%を下回ると報じられています。
半導体製造における歩留まりとは、生産したチップのうち正常に動作する割合を指します。歩留まりが低いと、コストが増大し、大量生産が難しくなります。
3nm GAAプロセスは、構造の複雑さからFinFETよりも製造難易度が高く、Samsungは現在この技術の成熟に苦戦していると考えられます。特に、大手競合のTSMCと比べるとSamsungの3nmプロセスの量産実績は少なく、技術的な確立が十分ではない可能性があるでしょう。
このような状況が続けば、今後のSamsungのプロセッサ開発にも影響を及ぼすかもしれません。Exynosシリーズは近年Snapdragonシリーズに対して競争力を欠くと指摘されてきましたが、今回のExynos 2500の低歩留まり問題はその流れを変えることができるのか、注目が集まります。
Exynos 2500が搭載される可能性があるデバイスとその影響
Exynos 2500は、当初Samsungのフラッグシップスマートフォン「Galaxy S25」シリーズに採用されると期待されていました。しかし、今回の量産遅延と低い生産能力を考えると、同シリーズへの搭載は見送られたと見られます。その代わりに、「Galaxy Z Flip 7」などの折りたたみスマートフォン向けに限定的に採用される可能性が指摘されています。
Galaxy Z Flipシリーズは、デザイン性や携帯性を重視したモデルであり、特に欧米やアジアの若年層に人気があります。そのため、Samsungはこのラインで独自のチップを搭載し、価格競争力を維持する戦略を取るかもしれません。しかし、Exynos 2500の性能がSnapdragon 8 Eliteに及ばないとすれば、一部のユーザーからは不満の声が出る可能性もあります。
また、SamsungがExynos 2500を限定的なモデルにしか採用しない場合、Exynosブランド全体の信頼性にも影響を及ぼすかもしれません。過去にExynos搭載モデルが発熱やバッテリー効率の問題で批判を受けた経緯を考えると、今回のExynos 2500も慎重に見極める必要があるでしょう。
AMDと共同開発したGPU「Xclipse 950」の実力と期待
Exynos 2500には、AMDと共同開発した新しいGPU「Xclipse 950」が搭載される予定です。このGPUは、AMDのRDNA 3.5アーキテクチャをベースにしており、Samsungのモバイル端末向けに最適化されています。従来のMali GPUとは異なり、PC向けの技術を活用してグラフィック性能を向上させることを目的としています。
しかし、ベンチマーク結果によると、Xclipse 950はSnapdragon 8 EliteのGPU性能には及ばないとされています。特に、Geekbench 6のリークデータでは、シングルコア・マルチコアともにSnapdragon 8 EliteのAdreno GPUが優勢だったとの報道がありました。これは、AMDとSamsungが目指していた「コンソール級のグラフィック性能」を実現するには、まだ最適化が必要であることを示唆しているかもしれません。
一方で、Xclipse 950の最適化が進めば、Exynosシリーズのグラフィック性能が向上し、Samsungの独自チップ戦略において重要な役割を果たす可能性もあります。特に、モバイルゲームや映像処理を重視するユーザーにとって、このGPUの進化は注目に値するでしょう。今後のファームウェアアップデートや次世代チップに向けた改良に期待が集まります。
Source:Wccftech